前回の旅行記更新から1年半以上経ってしまった……旅行からは3年ちょっと経ちました。はやくアイスランドに行きたいなぁと思う日々を過ごしています。
今回は2019年の大晦日、レイキャビクに移動して年越花火に臨んだ記録です。
旅程概要はこちら。
前日の様子はこちら。
何もかも気に入ってしまったHotel Vosにまだまだ滞在したい気持ちはあれど、大晦日。今回のアイスランド旅行における一大イベント、レイキャビク市街の年越し花火を体験するためにも、チェックアウトしなくてはいけない。悲しい。
最初のディナーのおいしさが忘れられず、そして名残惜しさも手伝ってこの日は朝食をお願いすることに。これが大正解でした。一見さして豪華でもないコールドミールにパン、それからセルフで焼くワッフル。ところが、ひとつひとつがきちんと、なんなら期待以上においしくて、にわかには信じられなかった。
こんなに普通っぽいのに…。パンもジャムも自家製で、特にルバーブジャムが日本で食べるものより酸味が少なくコクが深い。バターもやっぱり軽やかでついパンを食べすぎてしまうし、心なしか牛乳も甘みが強いような気がするのです。夫はなんてことない見た目のスライスチーズが抜群にうまいと言って何度も取りに行っていた。
羊柄のロパペイサ
朝食を堪能した後は、チェックイン時から気になっていた羊柄のロパペイサを改めて手に取って眺めてみる。やっぱりかわいいな〜と悩んでいると、オーナーが「部屋で試着してきたら?」と声をかけてくれたので、色違い2点をいそいそと試着してみた。
やっぱりかわいい🐑🐑🐑
お値段からすると免税店で買いたかったけど、タグのブランド名で検索しても販売情報が出てこないので意を決してここで買うことにした。柄とサイズはグレーが好きだけど色味はブラウン(とグリーンのミックス)のほうが良くて…散々迷ってブラウンを選びました。
エントランスに戻ってお支払いしていると、オーナーの奥様が「母が喜ぶわ、これ母が編んだの」とにっこりするので驚愕した。お母様が?! いやハンドニッティングなのだから当然誰かしらが編んだものなわけですが、こんなにも制作者に近いところで買えるなんて思ってもみませんでした。ここで買うことに決めてほんとうに良かった。次の渡氷でもここで1着買えたらいいな。
奥様いわく、アイスランドの羊の毛糸は空気をよく含み、通気性にも富むのでアイスランドの人たちは夏でも着ているらしい。汚れもつきにくいので、洗濯は1シーズン1回で構わないそう。洗うときはウール用洗剤で押し洗いして、絶対に伸ばさない、ねじらない。15秒だけ脱水して平干ししてね、と念押しされた。もともと気になっていたけど、俄然毛糸も買いたくなってくる。
オーロラ観測の季節
夫もこれまでの数日で英語で話しかけられることに慣れてきて、私の通訳もはさみつつ、チェックアウトがてらオーナー夫妻とお喋りできた。今回できなかった乗馬や氷河ボートツアーの話、それにオーロラ観測なら12月〜1月はあまり向いてないよ、なんて話も。
この時期、オーロラは出現するけれど気候が荒れやすくて、地上では観測できないことが多いのだそう。9月10月、3月4月あたりの方が穏やかだし寒すぎなくておすすめとのことだったので、次回は秋に来ることを心に決めた。よほどのことがないと休みを取りにくい状況だったから今回はこの時期が我々の正解だったけれど、天候の荒れっぷりは翌日以降も骨身に染みて体感いたしました。欲を言えばすべての季節のアイスランドを体験したいなぁ、緑溢れる時期も絶対に素敵だろうから。
この後のプランを訊かれて「レイキャビクで花火を観たい」と言ったら「あの勢いはまじでやばい、バンバン打ち上げまくって永遠に大騒ぎし続けてる、NO ONE CAN STOP THEM!!!」と返ってきて、あまりの剣幕に大笑いしてしまった。
絶対また泊まりに来ますね、と伝えて車に乗り込む。目的地レイキャビクまではGoogle Mapいわく1時間半、なのだが、雨である。
豪雨と霧のドライブ
どんより。まあ、この雲が垂れ込める景色も良いのですが。運転にはあんまりよろしくない。
そうこうするうちによろしくないとかいうレベルではなくなってきました。
何も、見えない!
今日は道路状況NGとまでは出ていなかったけれども、ところどころ凍っている道もあるので怖さが尋常ではない。もはやひとつ前の車のテールランプすらぼんやりとしか見えず、私は助手席でGoogle Mapから目を離さず次どっちにカーブするかお知らせするマシンと化しました。
安全な速度だったのに、下り坂カーブ・前後および対向車線に車あり・豪雨視界不良の中でいちどスリップしかけた瞬間は本当に肝が冷えた……しっかり立て直してくれた夫、ありがとう。いろいろな条件から腹をくくって挑戦したけれど、やっぱり冬のアイスランドドライブはしないに越したことはないと実感しました。同じように挑戦なさる方はどうぞお気をつけて。
精神をすり減らしながらも、なんとかレイキャビクに到着。2時間以上かかったように思う。
レンタカーの返却所が街のはずれにあるので、いったん次の宿泊先であるFosshotel Reykjavikに寄って荷物を預けます。
これであとは返却するだけ、と思いきや、ここからがまた難関だった。普通なら8分で着くはずのレンタカーショップに、30分かかっても着かない。なぜなら、大晦日ゆえに主要な車道が封鎖され尽くしているから。そしてそれがGoogle Mapではわからないから……。
私のメモによると、国道41号線(海岸のいちばん大きな道路。レンタカーショップへの最短ルート)が封鎖されていたようです。細い道もちょこちょこ封鎖されていてどこへ出ても迂回せざるを得ず、迷宮でしかなかった。
出発時には2時間近く余裕があるスケジュールだったのに、返却時刻に間に合わないことが確定。しかも大晦日だからレンタカーショップも早仕舞いで、延長ができないという手詰まりっぷりです。時間が無いのでガソリン補充は諦め、電話で状況を伝えて唯一アクセス可能な道を教えてもらい(49号線だった)、這々の態で到着。
「レイキャビクへの移動」がこんな一大スペクタクルイベントになるとは。旅行って何があるかわからないものですね。
で、まだここで終わりではありませんでした。レンタカーショップのスタッフさんに「ガソリンを補充できていないからここで払う」と伝えたら、「いやだいぶ高くなるよ、すぐそこのガソリンスタンドで入れといで、待ってるから」と言われる。おじさま優しい。が、正直またこの難関道路に繰り出して初めてのガソリンスタンド体験もしちゃうのは気が進まない。もう解放してほしい。しかし何度も勧めてくださるので気力を振り絞ってガソリンスタンドへ。
ガイドブックやブログでハウツーには目を通していたものの、いざガソリンを入れようとするとあるはずの「満タン」のボタンがない。なにしろおじさまを待たせているので潔く諦めて売店に突撃したら、ここでもスタッフさんが優しく教えてくれて無事に補充ができました(実際の様子をご紹介したいところだけど、気持ちに余裕がなくて一切写真が残っていない)。優しさが心に沁みる。アイスランドの人たち、いちばん最初に話したおそろしく早口な空港のレンタカーショップのスタッフさん以外はみんなすごく優しかったです。
大晦日の街歩き、Lokiのランチ
なんでもないけど、レイキャビクに着いて最初に撮ったムービー。レンタカーショップは波止場の一角にあったので、お店を出たらすぐ船が見えた。もう、それだけでわくわくする。
ちょうど気になっていたジェラート屋さんvaldisがすぐ近くだったので、極寒の中でジェラート購入。
想定の4倍くらいのサイズが来たけどかわいい! アイスのお味は、正直なところとてもふつうでした。笑 ボリュームがすごいのでふたりでシェアするくらいがちょうどいいと思う。
ここまでアイスランドでは一度も現金を使っていなかったのだけど、アイスのおつりで遂にコインをゲット。海のいきものたち! これまたかわいい。
バスの標識もかわいい。
信号の押しボタンも、置き去りにされたぬいぐるみも、
青信号のマークも、
小さなスケートリンクで大活躍しているゆるい動物型の乗り物も、
セーターとマフラー、帽子まで着せてもらってる豚さんも、
何もかもかわいい! なんなんだここは! 街中だけでも見るべきものがありすぎる……。
この手のかわいさに対する感性が夫と似ているのでふたりとも大はしゃぎで歩き回っていたのだが、そういえばもうすぐ午後3時。だいぶお腹がすいてきたところで、また新たな大晦日問題が。候補としてメモしていたレストランが軒並み早仕舞いしているのである。東京でも大晦日は通常より早く閉まるお店が多いけど、レイキャビクはかなり早く、14時頃には閉めてしまうお店が多いみたいです。年越し滞在を計画される方は通行止めとあわせてご注意を。
シガーロスのヨンシーのお店「Fischer」は我々のショッピングデーである1月3日が店休日なのでこの日に行くつもりでいましたが、ここも既に閉まっていました……夫、無念。
この界隈は諦めて、ホテル方面に戻りながらごはん屋さんを探すことに。なお、日本のほうが9時間進んでいるのでこの頃にはもう年が明けています。
お土産屋さんが立ち並ぶエリアを抜けて坂道を登ると、『北北西に曇と往け』にも出てくるハットルグリムス教会が!
綺麗だなぁ。
ちょうどこの教会の前で、Lokiの名を冠したカフェを発見したので迷わず入る。
私はラムスープとタラのプレートを選択。Hotel Vosのラムとはまた違って、こちらはラムのイメージ通りの香りもあり、でもよく煮込まれてほろほろでおいしい。
前日に海老料理屋さんで出会ったAppelsinもまた飲みました。
腹ごしらえを済ませる頃には日が落ち始めた。
明日の食糧を買うべく気になっていたパン屋さんに向かうものの、やはり閉店済み。レイキャビクを発つ前にまた来られますようにと願いつつ、ホテル方面に並ぶお土産屋さんを物色してみる。
すべてがかわいいので、THEお土産屋さんなお店ですら好みのものばかりあって困ってしまいます。
とはいえ早仕舞いしている店が多いのでこの日はあまり買い込まず。
そういえば、もし渡氷して最初にレイキャビクに行くなら、防寒装備は現地で買い足すのがいいなと感じました。そこの風土に適したものが売ってるし、日本にないデザインに出会えるし。次はそうしよう。
Happy New Yearそして花火花火花火
辺りが暗くなった頃、ようやくホテルにチェックイン。ひと息ついて、年越しそばを食べる。どん兵衛を持参しました。
ホテルの写真がまったく残っていなくて、よほど疲れていたんだな……。
お気に入りの靴下の写真しかありません。
22時すぎ、いよいよ年越し花火を見るべく、小雨が降る中をふたたび街へ繰り出す。ついでに先ほど買えなかった明日の食糧を、まだ開いている小さなスーパーで物色する、と、バター500gが350円くらいで売られていて叫びそうになりました。日本なら倍以上よ。ホテルの売店にぎりぎり残っていた、日本のコンビニなら300円で買えそうなサンドイッチも出がけに買ったのだけど、そっちは1600円。どうなってるんだ。しかもアイスランドのバター、この価格のものでも日本の定番ブランドより断然おいしくて、比較するならカルピスバター。価格、倍どころじゃなかった。ひとしきりバターに慄いてから塩、ハム、チーズ、バンズも手に入れて花火の位置取りへ。
私たちが陣取ったのはハットルグリムス教会前の通りにあるお店の軒先。スーパーで買い物をしている時点でもかなり混み合っていたけど、23時をまわる頃には通りまでこのひしめきっぷりに!
すぐ隣にベビーカーがあって、赤ちゃんがこの喧騒の中でもすやすや眠っていて可笑しかった。
そして、年明け!
教会前はちょっとひらけたところで打ち上げていたけど、ふつうの民家の庭とか、そのへんの路地でも突然花火が上がるので結構スリリングです。
どれも民間人が好きに打ち上げているんですって。よく火事にならないな。この日のために販売される打上花火セットには消防や救急への寄付が含まれているそう。大晦日も出動に備えて詰めてるんだろうか。
レイキャビクのはずれのほうには大きな篝火もあって、レイキャビク発のショートバスツアーがいくつも販売されていました。街中を見物するのも楽しかったけど、離れたところからこのお祭りを眺めるのも楽しそうです。
花火のにぎやかな音は、3時過ぎまで鳴り続けていました。初めて海外で過ごす年越しがアイスランドだったこと、夫と一緒にそれを味わえたこと、ずっと記憶に残しておきたい。
明日は(今の私にはとてもじゃないけど選べない)スーパーハードバスツアー14時間コースです!