ねむみめも

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It's ineffable.

アイスランド旅行記[6]地球の裂け目

今回の旅程はこちら。

 

前日(正しくは明け方)の様子はこちら。

 

待ちぼうけ

2019年12月30日。オーロラを見たあと寝たのが6時頃なはずだけど、9時には起きた模様。我ながら、やる気に満ち満ちている。

10時前でも外はこんなに暗い。

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宿の外観はこんな感じです。平家造り、きゅんとするかわいさ。

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この朝焼けでもう満足してしまいそうになる。

早速出発して観光スポットが集まるゴールデンサークルを巡ろうかと考えていたものの、オーナーから道路状況が悪いとの知らせが。そう、アイスランドのドライブ、こと冬に関しては、とにかく常に道路状況を確認していないと命取りになりかねないのです。

www.road.is | The Icelandic Road and Coastal Administration

このサイトの Road conditions and weather ページで通るエリアの状況を確認。車に乗る前に必ず目を通し、危なそうなルートは迂回。我々は海外走行も雪道走行も初心者なので、安全第一でドライブ中も助手席では常にこのページを開いておくようにしました。

オーナーの言葉通り近辺のルートは真っ赤っか。軒並み路面凍結中ということ。怖い怖い。

走れるようになるまでのんびり待つことにしました。この土地の空気を吸ってるだけで楽しいから気長にいきましょう。

 

エントランスで売られているアイスランドウールのハンドニッティングセーター、ロパペイサがあまりにもかわいい。

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羊柄!! こんなにもかわいい編み柄があっていいのか…お値段を見ると26,000円。ううむ。免税店にあったらそちらで買いたい値段だなと思いつつ、この場は見送る。

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エントランス横の談話室には、まだサンタさんの人形が。空港の展示で知ったのですが、アイスランドにはサンタさんが13人いるらしい。Hidden people、つまるところ妖精の13人が、それぞれ異なるいたずらを仕掛けてくるという…なんだか妖怪みたいな話が元になっていて、それがサンタクロースの話と混ざっていったと。12月12日からひとりずつやってきてプレゼントをくれて25日からひとりずつ去っていくから、1月6日がクリスマスシーズンの締めなのだそうです。

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この人はデザインから考えるにふつうのサンタかな?

 

そうそう、夫の部屋飲み用(保険)に持参したキンミヤのシャリキンパックを部屋の外で冷やしたりもしました。凍らなかったけどキンキンに冷えた。シャリキン目的ではなく小分けパックとして考えると携帯に便利ですね。

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シンクヴェトリル国立公園

道路が安全な状態になったのはお昼前。

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ずいぶん明るくなったけどまだまだ雲は厚い。

車の窓ガラスが凍りついていて途方に暮れ、お部屋のシャワーブースにあった掃除用ワイパーをお借りしてなんとかこすり落としました。

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行きのドライバーは私。運転、3年ぶりくらい。海外での運転は初めて。どきどきしながらGoogleMapに行き先を入力する。

1時間半の道のり、車が少ないからのんびり運転できるかと思いきや主要道路に入ると前後の車が猛スピードで走っていて、煽られまくってひいひい言うはめになりました。なんとか車間距離を保とうとすると時速100kmを超えてしまう勢いだし、道幅が広くなった瞬間にさらなるハイスピードで抜かされる。単なる速度以上に、まだ凍っている部分もある道をかっ飛ばすのが凄まじいのです。他のエリアでも、夜でも雪が降っていてもとにかく速いので、地元ドライバーは先が詰まってなければ120kmくらい出しているんじゃないかしら。なお郊外舗装道路の法定速度は90kmで、速度を守っても日本の高速道路並みです。

とはいえ、だいたいの道は前後に車の影もない状態で好きに走れるので快適だし、なにより窓の外に広がる景色が良い。

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平らな山なのか台地なのか、こういう見慣れない地形が至るところにあります。

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撮れなかったけどたまに馬も見かける。なぜか羊はまったく見かけなくて、ホテルに戻って訊いたら「脚が短くて雪が降ると埋まっちゃうから小屋にしまってある」とオーナーが教えてくれた。かわいいね…。

 

大自然の中をひた走り、無事目的地に到着しました。

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Þingvellir(シンクヴェトリル)国立公園!

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GoogleMapの表記はThingvellirですね。Hellaの発音がヘトラだし、lがふたつ重なると"tl"の発音、そしてたぶんt弱めになるんだな。最初は地名を見てもさっぱり覚えられなくて困ったけど、だんだん慣れてきました。

 

シンクヴェトリルでは、北アメリカプレートとユーラシアプレートの境目を地上で見ることができます。「大陸プレート」って地学の授業ぶりに書く単語だ。

日本はプレート同士がぶつかって地震が多発する場所だけど、アイスランドは逆にプレートが離れていく場所で、それゆえに「裂け目」=gjá(ギャウ)ができていて、今もすこしずつ裂け目は広がっているらしい。いつか島全体が裂けちゃわないのか心配。数万年後にはそんなこともありうるのかな。

 

有料駐車場に車を停めると目の前に展示室とお土産屋さんがあります。帰り際だと焦りそうなのでまずお土産屋さんを物色。

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この謎のアイスランド名物シリーズのタッチがツボにはまり、マトリョシカのほかにもいくつかグッズを買ってしまいました。それにしてもなんで一番右のヴァイキングはソフトクリーム持ってるんだろう。

ひとしきり買い込んでカフェで腹ごしらえをしたら、いよいよ展望台へ。

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ひ、ひろい。ファンタジー感がある。見渡す限り国立公園です。ちなみにまんなかに写ってるのが無料駐車場。

そしてほんとうに地面が裂けてる…!!

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手前側がいかにも裂け目らしい見た目ですが、より深い裂け目はこっち。

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ここも深い。

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下のエリアに向かおうとすると、この深い裂け目の中を歩くことになります。

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ここがプレートの境目なのかと思うと妙な気分。

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坂を下ると岩壁が高くなる。

さらに下って離れたところから見ると、規模が大きすぎて笑っちゃう。

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まるで誰かがきっちり石を積み上げたかのような地層。荘厳ですね…。

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この岩壁から、雪解け水が流れ出してる。

水が流れた先には凍った川と広大な湖。

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好きだなぁ。

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ずっとここにいたいくらい好きな景色だった。ああ、ここに戻りたい。

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そうそう、わかりづらいけれど、この旗が立っているところが10世紀の終わり頃に民主議会が発足したとされる場所なのだそう。Þing=集会・民会、vellir=平原、と地名の由来にもなっています。

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しかし10世紀って。あまりに早い時期でびっくりする。日本は平安時代ですね。

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続いて、国立公園内でどうしても見てみたかったスポットへ。

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ひたすら歩くこと30分くらい。この地図の拡大図のいちばん上、Silfra(シルフラ)です。

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ここもプレートの狭間。

氷河から流れ出た水が溜まっているから透明度が高いそうで、冬でもダイビングツアーがあるくらい。

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ダイビングするときはこの階段から。今回は恐怖心が勝って(そしてスケジュール的にも難しくて)やめたけど、いつか潜ってみたい。

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そして、気付けば3時間が過ぎていました。

 

ダウンとユニクロの防風パンツのおかげで冷えはつらくないものの、風が強くて顔が痛い。もう暗くなるし、どこに行くにも1〜2時間はかかるし、国立公園しか見てないけど夕飯どころに移動することに決定。

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これは売店にあった謎のハリボーアイス。ハリボー好きとして買わずにいられなかったがアイス自体は何の変哲もないバニラ風味で持ち手にゴールデンベアが詰まっているのを結構がんばって取り出して食べた。

 

駐車場の精算は展示施設の入り口にある精算機で。自分の車のナンバーを入力したらカードで払えるから楽ちん。駐車場内の有料トイレもカード精算可能で、本当にどこに行っても現金がいらないので快適です。

出発前に目当てのお店に電話してみたら(気軽に電話できるからレンタルルーターじゃなくてSIMカードにしてよかった!)ほどよい時間に予約できたのでのんびりドライブしながら向かいます。

 

アイスランドロブスターと低アルコール飲料の謎

途中、SelfossのBónusに寄り道。

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アイスランドといえばのスーパーマーケットです。Bónusの他にはKrónanもよく見かける。

外国のスーパーって楽しいですよね。

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買い物に夢中になりすぎてほぼ写真が残っていませんが、こんな感じで商品の表示は基本的にアイスランド語なので、Google画像翻訳に頼りまくってお菓子やら飲み物やらをBónusバッグとともに購入しました。海産物や乳製品の品揃えが豊富でバターを買いたい衝動に駆られるも、ここではまだ我慢。

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ちなみに、こういうスーパーでは普通のお酒は売ってません。街中で買いたいときはVinbúðinという酒屋さんへ。

 

さて、ディナーに選んだのはアイスランドロブスターを食べられるFjöruborðiðです。

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ドアがかわいい🦞

アイスランドロブスターは別名・手長海老。日本で慣れ親しんでる海老とも、THEロブスターとも見た目が違う。すごく言いづらいけど、くるんと丸まってる姿はなんかこう、幼い頃つついて丸めて面白がってたアレに似てるなぁと思わなくもない…。でも身がぎゅっと詰まってておいしいよ。

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ロブスター目当てだったので、わかりやすい3皿コースを選びました。

ロブスターのスープ、ロブスターとベビーポテト(ちっちゃくてまんまるでおいしい!)のレモンガーリックバターソテーwithきゅうりとディルのサラダ、そしてお好みのデザート。

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スープも見た目からはいまいち伝わらないけど濃厚でおいしかった。

で、問題がこの写真に写り込んでいるPilsner…この先ドライバーになる夫が飲み物を迷っていたらウェイターさんが「これなら飲んでも大丈夫!」と笑顔全開で勧めてくれて、さらにはソフトドリンクメニューとして記載されていたのでノンアルコールビールってことかと注文したのだけど、いちおう、微量ながら、アルコールが入っているのである。たしか2.5%ほど。表記に気付いて本当にぎょっとした。

日本のノンアルビールは0.05%未満なわけで、大慌てで調べてみるも、これを飲んで運転しても大丈夫なのかは判明せず。ただでさえ慣れない海外レンタカーなうえにやや凍り気味な夜道なので、念には念をということで私の頼んだオレンジジュース(Apelsinというもの。気に入って連日飲んだ)と交換したのだった。

今考えるとアイスランドうんぬんを抜きにして摂取アルコール量ごとの血中アルコール濃度の上がり方を調べればよかったのかもしれないな。いやでも3〜4%の酎ハイありますよね? 立派にお酒ですよね? ううむ謎だ…。

デザートは私がふたつとも選びます。キャロットケーキと、

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モンブラン

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どちらも好きな味だったからぺろりと平らげた。アイスランドのごはんはしんどさが全然なくて、たいていどれを食べてもおいしく満足できる、でもしっかり異国の味なので楽しいです。

ティーポットもかわいかった。

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しかし、3皿コースで1万円ほどなのでやはり日本よりちょっと物価が高い。このお店がことさら高いわけではなく、全体的に1.5倍くらいな体感です。水はタダだしバターも激安だけど、ごくふつうのサンドイッチが1500円する国。それでも、また行きたい気持ちは揺らがないけれど。

 

真っ暗な田舎道をドライブして無事ホテルに帰り着き、Bónusで仕入れたジンジャービアやスキールを夜食にしました。

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キールアイスランド旅行の記事に必ず出てくる食べ物なので興味津々だったのですが、ほぼギリシャヨーグルトです。脂質少なくて体によさそう。今や日本でも買えるのが嬉しいですね。気軽にアイスランドを感じられる。
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この日もオーロラハントする気満々だったけど、夜も天候が悪く翌日まで雪予報。無理せずしっかり寝ることにしました。

振り返ってみると、おっきい公園で遊んで海老を食べまくっただけの1日。でも、アイスランドの空気をたっぷり味わえて大満足でした。

明日、大晦日は首都レイキャビクに移動します。(記事更新いつになるかなと思いつつ…早めに書けたらいいな。のろのろ更新ですが、読んでくださる方ありがとうございます)