ねむみめも

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It's ineffable.

アイスランド旅行記[8]氷河

いよいよ、ようやく、2020年元旦の話です。

 

旅程概要はこちら。

 

前日、年越し花火inレイキャビクの様子はこちら。

 

 

いざ15時間のバスの旅へ

氷河……本物を目にする日が来るとは想像してもいなかったのですが、アイスランドを訪れるなら絶対に見てみたかった。当初はレンタカードライブを模索してみたものの、氷河があるのは島の東側。レイキャビクHotel Vosは西側なので、ぐるりと島の外周を走っていくとGoogle Mapで片道4〜5時間と出ます。つまり往復するとなると1日がかり。地図で見るとこんな具合です。

確実に暗い時間帯にも走ることになるし、氷河に近付けば近付くほど道路状況も悪くなりやすいことを考えると、さすがに西側泊で素人ドライブは無理だ! という結論に至り、Guide to Icelandでバスツアーを探すことにしました。

Guide to Iceland、プランが充実していて見やすくて、観光情報もたくさん載っているのでアイスランド現地でのアクティビティを検討している方にはとってもおすすめ。

中には1泊2日でまわるプランもあって、全体の宿泊日程や移動手段との兼ね合いで悩み転げました(やりたいことをできるかぎりやり尽くすためにパズルをがんばった話はまた別の機会にするかもしれません)。レビューも読み込み、ちょっとハードだけどこれしかないと決めたプランがこちら。

Jökulsárlón(ヨークルスアゥルロゥン氷河湖)までの道すがらいくつか名所に寄ってくれる、7時集合22時解散の15時間コース(!)で、Reykjavik Excursionというツアー会社のプラン。予約ページは最後まで日本語、でも2019年末時点でツアー会社からのメールは英語でした。このサムネイル画像、素敵だな〜。春かな? 春にも行きたいな……。

 

出発時は宿泊しているホテル前のバス停でピックアップしてもらえるから安心。念のために前夜のうちにバス停の場所を確認したのでなお安心。

朝7時、眠い目をこすりながらバス停へ。少し待つとがらんとしたバスがやってくる。私たちの後にも何組かピックアップしてまわり、15分ほどでBSI Bus Terminalに到着しました。

BSIはレイキャビク発バスツアーの拠点で、空港から市内までのバスもここに着く。Google Mapだと同じ敷地内にいくつもバス停マークがあって飲食店もありそうなのだけど、早朝はごはんになりそうなものは見当たらず、飲み物とおやつの自販機だけ発見。

ベンチで待っていたらツアー用のバスが到着! そわそわと乗り込みます。

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さすがに長時間のバス移動に不安も覚えていたけれど、添乗のガイドさんの感じが良くて一気に安心しました。目の前で朗らかにわかりやすく繰り広げられる案内の数々、通訳案内士業務の記憶がよぎっていちいち拍手したくなる。しかしなにせ朝、それもまだ真っ暗な朝。周りのゲストは軒並みテンションが地を這っていて静まりかえっている中ではそれもはばかられ、ガイドさんを見つめてしっかりはっきり頷いたりなどしながら楽しむことに。

少し走ったところで運転手さんからも自己紹介、それがなんと「おはようございます、運転手のThorです」ときたものだからMarvelファンな我々のテンションは爆上がり。すごい、ほんとにいるんだThorさん! Lokiさんもいるのかな?

 

暗闇の滝、黒い砂浜

1時間半ほど走ってまずは9:00にカフェ休憩の予定が、元旦につきショップのオープン時間が遅くなっているとのことで予定変更。たしかに元旦だものね、そりゃそうだよね。そんなわけで最初に停まるのはVik手前のSkógafoss(スコゥガフォス)という滝になった。

9:45、Skógafossに到着。

まだ真っ暗なので足もとに気を付けながらバスを降り、そろりそろりと滝の近くへ。存分に水飛沫を浴びる。が、この暗さゆえに私の技量ではまともに写真が撮れませんでした。無念。

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写真の真ん中あたり、見えるかどうか怪しいくらいの粒々が人の頭です。真ん中と右の白い光が誰かのスマホ。滝のサイズ伝わるかしら。暗くとも、初手からアイスランドの自然のスケールを叩き込まれました。氷河への期待が否応なしに高まってしまう。

マイナスイオンを浴びたのち、代替のコーヒー休憩をするVik(ヴィーク)へと出発。左手にKatla(カトラ)火山を望む道のりです。

しばらく前にアイスランドで噴火があってヨーロッパの航空事情が大変なことになっていた記憶はあったのだけど、その時のEyjafjallajökull(エイヤフィヤトラヨークトル)火山が国道から見てSkógafossの奥側にある。噴火後は3年くらい太陽が見えなくて、volcanic winterと呼ばれていたのだそう。想像しただけで気が滅入ってくるな……。(と書いて下書きフォルダに眠らせているあいだに新たに噴火が。道路復旧工事の溶岩との近さすごいなと感服しつつ、どうかアイスランドの方々が安全に過ごせますように祈っています。)

で、その火山よりもさらに危険とされているのがKatla火山です、と力説するガイドさん。氷河で覆われているがゆえに、噴火すると大洪水も引き起こすので被害が甚大。いや怖い。美しさもすさまじいが自然災害もすさまじい。

写真ぼけぼけですがこれは私の朝ごはん。アイスランドはスキールじゃない普通のヨーグルトも美味で、私はむしろヨーグルトのほうが好みでした。

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Vikに着いたのは10:30頃。

スーパーのKrónan(クローナン)とカフェがある! お手洗いついでにスーパーをひと巡りして楽しみ、焼き立ての匂いにつられて何の変哲もないチョコチップクッキーを購入したら激甘だった。でね、Krónanの横にはもうこんな景色が広がっているのです。

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海! 美しい! 最高! 強風!!!

強風〜〜〜〜

不思議な形の岩は、トロールが朝日を浴びてかたまったものという言い伝えがあるらしい。いいですねぇ。Vikといえばの黒い砂浜は写真におさめそびれましたが、ここの地面に転がっている石も既に黒いのが伝わるでしょうか。

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柱状節理の近くにも行きたかったな。このツアーが急ぎ足だったからなのか、トイレに行かなければ(そんなの無理だけど)砂浜の端っこまで行けたのかは記憶が定かでない。また次回にとっておくことにします。この黒い砂浜で乗馬もしてみたいの。

それにしても風の印象が強かった、ぼおぼお吹かれすぎてずっと笑っていたような気がします。

 

知らないかたちの地球

さて、さらに東へ進みます。

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道中、窓の外はずっと知らない地形ばかり。これはフェイクボルケーノという地形だそう。フェイク、なので本物の火山ではなくて、湿地帯に溶岩が流れ込んでできたもの。小さいとんがりがたくさん。

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小雨が降ってきた。この天候の不安定さ(大晦日ほどではないが)、心底バスツアーを選んで良かったと安堵する。

1時間ほど走って「さあ降りて!」と促されると目の前にはまた不思議な景色。

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ぽこぽこ……苔がぽこぽこしている……。

Eldhraun、Mossy Lava Fieldと呼ばれている場所。溶岩よりもそれを覆う苔が気になる。この苔、グレーモスという名前なのだそうで、普段はグレーだけど雨が降ると葉っぱが開いて緑になるとのこと。いま雨だから緑なんだ! グレーだとまったく印象が変わりそう。

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ひさびさの登場、デップーさん。こうして見るとたしかにごつごつしていていかにも溶岩然とした岩だ。

ところで、記録するにあたってグレーモスを検索してみたら、まず日本語ではさっぱり出てこず(遊戯王のグレートモスばっかり出る)、英語でも私の知りたいことがさっぱり出てこないのであれこれ調べ直し、結局のところ正式名称がIceland moss (Cetraria islandica) の地位植物だとわかりました。広義の苔だがコケ植物ではない。わかりにくいことにこの名前でアイスランド固有種でもなく、イギリスやアイルランドにもあるそうな……。食用にできて、薬効もある。そういえばお土産に買ったハーブソルトも原材料にmossって書いてありました。おもしろすぎる、グレーモス。しかもこれ、ドライフラワーなんかと一緒にリース作りに使うモフモフな素材の一種なのだそうで、もしかしたら私ずっと前から触ったことあったのかもしれない、不思議な邂逅。

12:00、お昼ごはんに向けて出発。

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もはや影にしか見えないですが、画像左側にあるのが「平らな山でいちばん高い山」。今Google mapで探してみると、Lómagnúpurなのかな。標高764m。ほんとに山というより台、というか分厚いまな板みたいな形状、他のエリアをドライブしている時もこういう山を見かけました。これも日本には無い景色だよな〜。中にトロールが住んでるんですって。

この山を超えたあたりでVatnajökulsþjóðgarður(ヴァトナヨークトル国立公園)に突入。目的地Jökulsárlónの他にもいくつか氷河を含む、3000キロ平方メートルもの国立公園です。地図の白っぽいところよりふたまわりくらい大きい。

12:45、Veitingasala Restaurantにてお昼休憩です。サンドイッチなど軽食を持ってきていたのでここでは少なめに、トマトスープとポテトグラタンを注文。

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一見これ以上ないほど普通なのに、とびきりおいしい! ホテルの朝食のチーズもそうだったわけで、アイスランド恐るべし。地熱を活用しているトマト農園も気になりつつ予定に組み込めなかったので、思いがけずトマトスープをいただけてラッキーだった。

 

氷の世界

ごはんに大満足でバスに揺られること30分。み、見えてきた……!

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14:00、Jökulsárlónに到着。国道はいちばん海に近い湖畔に接しています。

氷だーーーーーー!

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夢みたいな景色。

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橋の先は海。ちょうどイギリスの方向です。青い氷塊、火山灰の黒い筋が入っていると鉱物みたい。

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この奥の、陸地みたいなものが氷河(氷舌)。ここから割れた氷が湖を揺蕩い、岸に打ち寄せられてる。

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波打ち際にはちいさな欠片が。きらきらと光を反射するのがうつくしくて、ダイヤモンドビーチと呼ばれているのも納得。

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曇り空でもこんなって、晴れてたらどんな景色になるんだろうな。

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雀っぽい、でも足に羽根がついてるように見えた鳥。

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おおきな氷塊、ガリガリくんソーダ味ぽさもある。

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この美しさを何時間でも眺めていたい。(とアイスランドで何回思ったことか)

ここでも風の勢いは容赦なくて、次の渡氷時は絶対に絶対に顔を覆えるものを買おうと思いました。バラクラバとか。

氷河湖をボートで遊覧できるツアーを楽しみにしていたんだけど開催は夏季のみだった。また来なくちゃ。日照時間が長い季節、同じツアーでも見えるものが違うだろうな。

 

長い旅の終わり

1時間滞在の後、帰路へ。トイレ休憩を挟んで18:00にVik着、レストランIce Caveで夜ごはんをいただきます。

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フードコートみたいなスタイル。

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わぁ高い。夫が選んだチキンカレーは甘めでした。私は持参した軽食でおなかが満たされていたので、ここでは見てるだけ。

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Vikを後にして、最後の寄り道。Seljalandsfoss(セリャラントスフォス)という滝を訪れます。

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またしても規模が伝わらない写真ですが、ジャングルクルーズの滝をものすごく大きくした感じ。足元が危険じゃない時期には滝の裏側を通ることもできるそう。

この距離でも水飛沫がかかるくらいの勢いだった。朝もそうだったけど、暗闇の中の滝、かえって良い体験だったかもしれない。

 

長い長いバスの旅を終えて、予定通りの22:00、レイキャビク市内に到着。道路にはうっすらと雪が積もっていました。

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降りたところの窓たちがかわいい。

勇気を出してガイドさんに素晴らしい案内だったと感謝を伝えたらとても嬉しそうに笑ってくれた。ちゃんと伝えてよかったな。

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Fosshotelに戻ってきた!

これ以上ないほど充実した1日でした。明日は午前中レイキャビク観光、午後は巨大な温泉ブルーラグーンに移動します。