ねむみめも

ねむみめも

It's ineffable.

来年のテーマをふわふわと考えている

8年ほど前から、誰に言うわけでもない「今年のテーマ」を自分の中で持つようにしている。

年を経るごとに、秋頃から「来年はこれかな?」という言葉をぼんやりと探して、1〜2月頃にしっくりくるものが定まるというリズムになってきた。去年は秋になってから「今年のテーマこっちだったんだ」と気付いたのだけど、まあとにかくルールなどないのでゆるくやっています。

photo by 由貴さん

心の在り様にしっくりくる言葉を探す、それも今この瞬間だけじゃなくて来る1年に向けて、というのは、たぶんこうしてひとことにまとめた印象よりも効用が大きい。

心の中を覗いて検分してみることになるし、わけもなくいいなと思える言葉をいくつも集めるきっかけになるし、付随してやりたいことを整理することもできる。私は自分のための目標を立てて達成するのがうまくなくて、「できない」感覚にとらわれがち(短期的だったり、必要に迫られる状況に追い込めばいけるんだけどね、むずかしい)。でもテーマだと目標よりも大まかな指針になるので縛られる感覚がないのがいい。テーマからゆるゆると目標、行動に落としていくこともあれば、やりたいことをいくつか並べてみてテーマを思いつくこともある。

それから、物事が起きた後にも。ひとつひとつの出来事、反射的にへこんでしまうようなことにも自分なりの意味や繋がりを見つけやすくなって、思考のネガティブスパイラルにはまりにくくなる効果もある、気がしている。

今年の私は ゆるめる/release がテーマで、それは身体を思い切り壊してしまって筋肉をゆるめたいというのが大元にあったのだが、なんかね、まったくもって想像だにしていなかったほうからこのテーマを怒涛の勢いで後押しするようなイベントがやってきて、その瞬間は肉体的にも精神的にも辛くて必死でしかなかったけど後からふと「あれ? そういうこと?」と腑に落ちて。

しんどい事象もテーマに沿ってるなぁと思うとちょっと面白くて、自分で占いをしてるみたいな感覚。日々のゆらぎにも幾許か楽しさが宿る。これって認知機能がおおいに働いてくれてるおかげかな……(これ書いてて、もしかしていわゆる引き寄せってこれに似た仕組みかしらと思い至った。調べてみよ〜)。

毎年違うテーマを選ぶけど、ひとたび採用したテーマはなんとなく自分の中に馴染むので「来年はこのテーマは削除」とはならず、バックグラウンドにずっとある感じになります。それも結構気に入ってる。

来年は何にしようかな。いくつか候補は書き留めつつ、突然舞い込んでくることもあるからまだ余白を残してある。ちなみに、テーマとは楽しく戯れてるけど、自分のための目標を立てて達成するのはいまだにうまくありません。考え方次第のようにも思うし、最近あらためて立ち向かおうとしている自己肯定の諸々がボトルネックになっている可能性も感じています。もっと枷を解いていきたいな。

photo by 由貴さん

ほどく、ゆるめる、あるいは瘀血を吐き出す

誕生日の夜は、我ながら鬱陶しいところで思考が止まって面倒だった。

もやもやの多重奏をどうにか少しずつ言語化してみたら生きてる価値がないと結論付いてしまうのだが、さすがにそれをそのまま口から発するのは憚られる。

 

自己肯定感と自己効力感が地の底に届きそうなほどに低い。後者は時と場合によっては上昇するが、前者は絶望的に安定している。

この問題を、ここ数年は敢えて遠ざけていた。医師に「まずは原因を深掘りしようとしない方がいい」と言われたから。

この夏、こんなのどうしようもなかったじゃん、という遠い過去の事実が掘り起こされ、途方もない無力感とやるせなさに苛まれたのだが、今こそ問題に向きあう時なのだと言われているような気分にもなっている。

去年から抱えている身体の問題に向き合ううちに精神にも向き合える気配がしてきたところへ、否が応でも向き合わざるをえなくなる事件が起きて、しかし向き合う以前にとにかく現状への対処に奔走して疲弊した夏だった。まだそれが収束していなくて、精神が磨耗するのをどうにかなだめている。そんな中で、誕生日だった。かなしくてかなしくて、そういえば4年前も朝まで洗面所に座り込んで泣いてたんだったと思い出した。狭い家なので当然夫に見つかって、ほどなくして病院に通い始めた。あの時よりはましだけど、たぶん根底には同じものがある。

瘀血を吐き出すみたいに、心の奥底にびっしりと絡みついている問題の根源を取り除いてしまいたい。苦しさを伴うだろうけれど、ひとすじずつほどいて、ゆるめて。来年の誕生日を明るい気持ちで迎えられますように。

2年3か月前の日記

ながいこと下書きフォルダに眠らせていた日記です。

 

6/21(月)

久しぶりにオンラインレッスンをした。教えるほう。高校1年生の英作文、添削するにあたり私の知りうる全ての語彙を活用するのもきっとよろしくなく、平易ながらも使いやすい表現、読み聞きしたことはあるけど自発的には使ったことがないらしい単語を選び取っていく作業は結構頭を使う。しかしなにより、私にとって息をするみたいに当たり前になってしまっているが彼女にとってはそうではないこと、を見つけて解説するのが難しい。今回は、論旨を整理すること、論理という概念そのものだった。

ストレングスファインダーによると私は課題解決が好きらしい。たしかに目の前の問題の解き方というより学習へのスタンスや目標達成への道筋探索込みで、教える、あるいは提案するのはなかなか楽しい。正直、丁寧にケアしすぎているとは思うけれど、英語と戯れるのも楽しいし彼女のレベルアップを間近で見られるのも楽しいので、まあいいかと思っている。

 

6/22(火)

ボタンホールを手縫いで仕上げてみたくて、初めて糸巻きに巻かれた手縫糸を買った。ミシン糸みたいな見た目で、色の種類も豊富。

ミシン糸で手縫いするとあっという間に糸がくるくる捩れて絡まりがちなのがストレスフルなのだけど、これはミシン糸が左巻きに撚られていて、私が右利きだから起こる現象らしい。

で、手縫い用の糸は逆に右巻きで撚られている。教材セットに入っていたボタンつけ糸は使ったことがあるけど、この細さの手縫糸って使うのも初めてかもしれない。ホールの前にまずボタンを縫い付けてみたらほんとうにスイスイ縫えて感動した。変なところで結ばることがない。すごい…文明ってすごい…。

でも、ということは、左利きならミシン糸で手縫いしてもあんなに苛つかずに済むのだろうか。大変なこともたくさんあるのだろうけどちょっと左利きの人が羨ましい。

 

6/23(水)

ふるさと納税で入手したすももでジャムを作った。ジャムは、調理工程も目に楽しいし、瓶に詰めた姿がきらきら眩いし、長期間に渡って少しずつ食べ進められる。ひとたび作ると達成感が長続きするのでとても好きだ。食べるたびに作って良かったと思う。瓶が空っぽになる瞬間がたまらなくかなしくて、毎年もうちょっと多く作ろうと増やし続けて夫に呆れられている。

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今回使った小豆島のレッドスターという品種のすももは中の果肉まで赤く、ジャムにしたらルビーのように美しく仕上がった。味も、去年まで使っていた大石プラムとはまた違う甘酸っぱさ。他の品種でもジャムを作ってみたくなってきてしまった。

 

6/24(木)

ここのところずっと意識のふちに引っ掛かっていたこと。己の所業についての認知の歪みが甚だしいような気がする。前提として、私は自己をそのままするりと肯定するのがとてもへただ。できるようになりたいと思い始めて10年は過ぎた。幼少期から煮詰められきた思考の癖がなかなか抜けない。少しずつ灰汁の部分を除いていけてはいる、はず、だが、自分が楽にできて楽しいことを逃げで怠慢だと見なす感覚がいまだにある。頭ではわかってるし、他者がやっている分にはさっぱり何とも思わないんだけどな。

 

6/25(金)

4週にわたって受講していた福井大学のオンライン講座、「北欧アイスランドの歴史・文化・社会」の最終回だった。この1年でリモートのあれこれの普及が一気に進み、こうして気軽に遠方の講座を受けられるのはとてもありがたい。

実のところ、4回のうちいちばん興味のなかった今日の社会・政治分野が、結果的にいちばん面白かった。

 

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ものすごく尻切れとんぼだけど、下書きがここで終わっていた。アイスランド行きたいな。

「陳情令」薛洋のねじれについての覚書

ドラマ1周目の頃に頭が煮詰まった勢いで書き留めていたものです。この時点で原作も読了していたので混ざっているかも。

 

薛洋、凄まじいやり方で暁星塵を踏みにじるけれど、最期の飴にも表れているように3年間ずっと復讐心だけで過ごしていたとは思えない。「正義を自負し高潔を気取る」彼を陥れ、同じところに堕ちてくるのを待つことに喜びを感じると同時に、嘘で塗り固めた自分であっても彼と笑い合える時間は幸せだったんじゃないか。心の奥底では(自覚なんてないかもしれないけれど)嘘じゃない自分でこんなふうに幸せを享受したかったと願い、嘘によって生み出された甘やかな時間を僅かでも楽しんでいる自分のことを強烈に否定していそうだ。こんなもの嘘でしかないんだって。


・嘘なしにこんな奴が俺に笑いかけるわけがない

・なぜなら、俺はこいつにとって悪だからだ

・でも善行で世が変わるなんて嘘だ

・俺がこの世で生きていくにはこうするしかなかった

・だから俺は正しい

=こいつと笑い合って幸せだと感じるのはおかしい

=徹底的に踏み躙るのが正しいし、死んだのなら傀儡にして思い通りに動かせるから好都合だ

 

……ほんとうに?

(傀儡にしようとしたのは、ただ使役するためだろうか。動き話す彼がそばにいるひとときを作り直したい気持ちがひとかけらも無かったなんて、言い切れるだろうか)


ほんのすこしでも幸せだな、楽しいな、と思った瞬間にこのかなしい論理が感情を打ちのめす。己がほんとうに望んでいることにも気付くことができない、あるいは向き合うことができない。彼は、自分の妄執によって自分の心を否定し続けることでねじり切られた存在、なんじゃなかろうか。そしてこの自己否定を補強するのが宋嵐の存在なんだと思う。嫌というほど現実に引き戻される。

「嘘は信じたのに、本当のことは信じないのか?」は暁星塵への嘲り、皮肉でありながら、薛洋の願望も反映されているように思えてきてしまう。

 

薛洋の犯したことは明確に悪だし、報いを受けて然るべき人物。でも彼が指を轢かれなければ、あるいは傷めつけられた彼に手を差し伸べる人がいれば、まったく違う方向へ羽ばたけただろうにと思う。

金光瑶は手を差し伸べてもらえたけれど、その手に素直に着いていくにはもう傷付きすぎていて、薛洋と共鳴したんだろな。

もちろん彼らと同じような傷を負っても悪に走らない人もいるのだけど、傷付けられた人たちや弱い人たちが悪に走らないで済む世界は、藍忘機と魏無羨が目指している世界に重なる。

悪をくじき弱きを救う、天灯の誓い。


と考えると陳情令ほんっっっとに良くできてる〜〜〜〜!!!いやただの個人的解釈で妄想だけど、勘違いもあるかもしれないけど、永久機関のごとくあれこれ考え込ませてくれる陳情令そして魔道祖師ありがとう…墨香铜臭老师、多謝…。

 

ねじれの中に見え隠れするものを探すのも最高なのですが、薛洋が悪に染まらず幸せに才能を開花させまくるifが読みたいです。幸せルートで魏無羨と出会ったら絶対に盟友になれるよ、うわーーん!(ただし唯一の知己の座は埋まってる)(知己とは)

丁寧って

丁寧って、手間をかけるとか、ニアリーイコール時間がかかる、みたいなイメージ。とりわけ「丁寧な暮らし」とラベリングする時はほのかに高尚な風合いも加わるかもしれない。こまやかで穏やかで、それゆえに清らかでもあり、地に足をつけて、日々のちいさな幸せをひとつひとつ大切にする暮らし。

しかしながら、何かと丁寧に向き合うことは、要するに対象をつぶさに見つめるということで、同じ物事から受け取る情報量が増えるというだけのことなんじゃないかと気付いた。

足腰をひどく傷めたことで、身体について意識しているつもりで全然できてなかった(なんなら身体を置き去りにして生きてた)と思い知ったり、裁縫経験値が少しずつ上がってきたら布を構成する糸をきちんと見ることの重要性を感じるようになったり……で唐突にこう思い至ったのだけど、考えてみればジャムを煮るのが楽しいのは旬の果物を選んだり煮る時のなんともいえない良い香りをかいだり瓶に詰めてきらきらしてるのを眺めたりするのがどれも楽しいからで、完成品を買うことでは得られないことだからやりたくなる(買うのにもまた別の良さがある)。いろんな茶葉を集めて自分で淹れて飲むのも同じ。

 

ものすごくずぼらでだらしない生態なのに丁寧だと言われることが結構あって、嬉しさと、時には「丁寧」から脱却したいと思うこともありつつちぐはぐに感じていて、でもつまり私は受け取る情報量が増えることを楽しんだり面白がったりしているんだなーと捉えたらすこんとはまった。なんだろう、高尚な精神性から切り離せるじゃんと思えるからだろうか。時間がかかるのとイコールじゃないと思えるのも大きいかもしれない。実際ジャムを煮るのだってたいてい15分くらいだから(ことこと1時間くらい、のイメージない?)。

嫌なことってほどじゃないけど、心の隅っこで無意識にぎゅっとなってた気持ちがほどけた感じがする。ていねい、お呼びじゃないわという気分の時もまああるんだけど、こう考えてみると結構いいものだし、好き。心を縛らずに、好きな時に好きなだけ丁寧をやっていきたい。

 

辞書に載ってる言葉の意味の、その上だか奥だかに降り積もってる感覚の話。言葉は文化なのだなぁと改めて思う。

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アイスランド旅行記[7]No one can stop them.

前回の旅行記更新から1年半以上経ってしまった……旅行からは3年ちょっと経ちました。はやくアイスランドに行きたいなぁと思う日々を過ごしています。

今回は2019年の大晦日レイキャビクに移動して年越花火に臨んだ記録です。

 

旅程概要はこちら。

 

前日の様子はこちら。

 

アイスランドのバターは至高

何もかも気に入ってしまったHotel Vosにまだまだ滞在したい気持ちはあれど、大晦日。今回のアイスランド旅行における一大イベント、レイキャビク市街の年越し花火を体験するためにも、チェックアウトしなくてはいけない。悲しい。

最初のディナーのおいしさが忘れられず、そして名残惜しさも手伝ってこの日は朝食をお願いすることに。これが大正解でした。一見さして豪華でもないコールドミールにパン、それからセルフで焼くワッフル。ところが、ひとつひとつがきちんと、なんなら期待以上においしくて、にわかには信じられなかった。

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こんなに普通っぽいのに…。パンもジャムも自家製で、特にルバーブジャムが日本で食べるものより酸味が少なくコクが深い。バターもやっぱり軽やかでついパンを食べすぎてしまうし、心なしか牛乳も甘みが強いような気がするのです。夫はなんてことない見た目のスライスチーズが抜群にうまいと言って何度も取りに行っていた。

 

羊柄のロパペイサ

朝食を堪能した後は、チェックイン時から気になっていた羊柄のロパペイサを改めて手に取って眺めてみる。やっぱりかわいいな〜と悩んでいると、オーナーが「部屋で試着してきたら?」と声をかけてくれたので、色違い2点をいそいそと試着してみた。

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やっぱりかわいい🐑🐑🐑

お値段からすると免税店で買いたかったけど、タグのブランド名で検索しても販売情報が出てこないので意を決してここで買うことにした。柄とサイズはグレーが好きだけど色味はブラウン(とグリーンのミックス)のほうが良くて…散々迷ってブラウンを選びました。

エントランスに戻ってお支払いしていると、オーナーの奥様が「母が喜ぶわ、これ母が編んだの」とにっこりするので驚愕した。お母様が?! いやハンドニッティングなのだから当然誰かしらが編んだものなわけですが、こんなにも制作者に近いところで買えるなんて思ってもみませんでした。ここで買うことに決めてほんとうに良かった。次の渡氷でもここで1着買えたらいいな。

奥様いわく、アイスランドの羊の毛糸は空気をよく含み、通気性にも富むのでアイスランドの人たちは夏でも着ているらしい。汚れもつきにくいので、洗濯は1シーズン1回で構わないそう。洗うときはウール用洗剤で押し洗いして、絶対に伸ばさない、ねじらない。15秒だけ脱水して平干ししてね、と念押しされた。もともと気になっていたけど、俄然毛糸も買いたくなってくる。


オーロラ観測の季節

夫もこれまでの数日で英語で話しかけられることに慣れてきて、私の通訳もはさみつつ、チェックアウトがてらオーナー夫妻とお喋りできた。今回できなかった乗馬や氷河ボートツアーの話、それにオーロラ観測なら12月〜1月はあまり向いてないよ、なんて話も。

この時期、オーロラは出現するけれど気候が荒れやすくて、地上では観測できないことが多いのだそう。9月10月、3月4月あたりの方が穏やかだし寒すぎなくておすすめとのことだったので、次回は秋に来ることを心に決めた。よほどのことがないと休みを取りにくい状況だったから今回はこの時期が我々の正解だったけれど、天候の荒れっぷりは翌日以降も骨身に染みて体感いたしました。欲を言えばすべての季節のアイスランドを体験したいなぁ、緑溢れる時期も絶対に素敵だろうから。

この後のプランを訊かれて「レイキャビクで花火を観たい」と言ったら「あの勢いはまじでやばい、バンバン打ち上げまくって永遠に大騒ぎし続けてる、NO ONE CAN STOP THEM!!!」と返ってきて、あまりの剣幕に大笑いしてしまった。

絶対また泊まりに来ますね、と伝えて車に乗り込む。目的地レイキャビクまではGoogle Mapいわく1時間半、なのだが、雨である。

 

豪雨と霧のドライブ

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どんより。まあ、この雲が垂れ込める景色も良いのですが。運転にはあんまりよろしくない。

そうこうするうちによろしくないとかいうレベルではなくなってきました。

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何も、見えない!

今日は道路状況NGとまでは出ていなかったけれども、ところどころ凍っている道もあるので怖さが尋常ではない。もはやひとつ前の車のテールランプすらぼんやりとしか見えず、私は助手席でGoogle Mapから目を離さず次どっちにカーブするかお知らせするマシンと化しました。

安全な速度だったのに、下り坂カーブ・前後および対向車線に車あり・豪雨視界不良の中でいちどスリップしかけた瞬間は本当に肝が冷えた……しっかり立て直してくれた夫、ありがとう。いろいろな条件から腹をくくって挑戦したけれど、やっぱり冬のアイスランドドライブはしないに越したことはないと実感しました。同じように挑戦なさる方はどうぞお気をつけて。

 

レイキャビク封鎖迷宮

精神をすり減らしながらも、なんとかレイキャビクに到着。2時間以上かかったように思う。

レンタカーの返却所が街のはずれにあるので、いったん次の宿泊先であるFosshotel Reykjavikに寄って荷物を預けます。

これであとは返却するだけ、と思いきや、ここからがまた難関だった。普通なら8分で着くはずのレンタカーショップに、30分かかっても着かない。なぜなら、大晦日ゆえに主要な車道が封鎖され尽くしているから。そしてそれがGoogle Mapではわからないから……。

私のメモによると、国道41号線(海岸のいちばん大きな道路。レンタカーショップへの最短ルート)が封鎖されていたようです。細い道もちょこちょこ封鎖されていてどこへ出ても迂回せざるを得ず、迷宮でしかなかった。

出発時には2時間近く余裕があるスケジュールだったのに、返却時刻に間に合わないことが確定。しかも大晦日だからレンタカーショップも早仕舞いで、延長ができないという手詰まりっぷりです。時間が無いのでガソリン補充は諦め、電話で状況を伝えて唯一アクセス可能な道を教えてもらい(49号線だった)、這々の態で到着。

レイキャビクへの移動」がこんな一大スペクタクルイベントになるとは。旅行って何があるかわからないものですね。

で、まだここで終わりではありませんでした。レンタカーショップのスタッフさんに「ガソリンを補充できていないからここで払う」と伝えたら、「いやだいぶ高くなるよ、すぐそこのガソリンスタンドで入れといで、待ってるから」と言われる。おじさま優しい。が、正直またこの難関道路に繰り出して初めてのガソリンスタンド体験もしちゃうのは気が進まない。もう解放してほしい。しかし何度も勧めてくださるので気力を振り絞ってガソリンスタンドへ。

ガイドブックやブログでハウツーには目を通していたものの、いざガソリンを入れようとするとあるはずの「満タン」のボタンがない。なにしろおじさまを待たせているので潔く諦めて売店に突撃したら、ここでもスタッフさんが優しく教えてくれて無事に補充ができました(実際の様子をご紹介したいところだけど、気持ちに余裕がなくて一切写真が残っていない)。優しさが心に沁みる。アイスランドの人たち、いちばん最初に話したおそろしく早口な空港のレンタカーショップのスタッフさん以外はみんなすごく優しかったです。

 

晦日の街歩き、Lokiのランチ

なんでもないけど、レイキャビクに着いて最初に撮ったムービー。レンタカーショップは波止場の一角にあったので、お店を出たらすぐ船が見えた。もう、それだけでわくわくする。

ちょうど気になっていたジェラート屋さんvaldisがすぐ近くだったので、極寒の中でジェラート購入。

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想定の4倍くらいのサイズが来たけどかわいい! アイスのお味は、正直なところとてもふつうでした。笑 ボリュームがすごいのでふたりでシェアするくらいがちょうどいいと思う。

ここまでアイスランドでは一度も現金を使っていなかったのだけど、アイスのおつりで遂にコインをゲット。海のいきものたち! これまたかわいい。

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バスの標識もかわいい。

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信号の押しボタンも、置き去りにされたぬいぐるみも、

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青信号のマークも、

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小さなスケートリンクで大活躍しているゆるい動物型の乗り物も、

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セーターとマフラー、帽子まで着せてもらってる豚さんも、

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何もかもかわいい! なんなんだここは! 街中だけでも見るべきものがありすぎる……。

この手のかわいさに対する感性が夫と似ているのでふたりとも大はしゃぎで歩き回っていたのだが、そういえばもうすぐ午後3時。だいぶお腹がすいてきたところで、また新たな大晦日問題が。候補としてメモしていたレストランが軒並み早仕舞いしているのである。東京でも大晦日は通常より早く閉まるお店が多いけど、レイキャビクはかなり早く、14時頃には閉めてしまうお店が多いみたいです。年越し滞在を計画される方は通行止めとあわせてご注意を。

シガーロスのヨンシーのお店「Fischer」は我々のショッピングデーである1月3日が店休日なのでこの日に行くつもりでいましたが、ここも既に閉まっていました……夫、無念。

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この界隈は諦めて、ホテル方面に戻りながらごはん屋さんを探すことに。なお、日本のほうが9時間進んでいるのでこの頃にはもう年が明けています。

お土産屋さんが立ち並ぶエリアを抜けて坂道を登ると、『北北西に曇と往け』にも出てくるハットルグリムス教会が!

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綺麗だなぁ。

ちょうどこの教会の前で、Lokiの名を冠したカフェを発見したので迷わず入る。

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私はラムスープとタラのプレートを選択。Hotel Vosのラムとはまた違って、こちらはラムのイメージ通りの香りもあり、でもよく煮込まれてほろほろでおいしい。

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前日に海老料理屋さんで出会ったAppelsinもまた飲みました。

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腹ごしらえを済ませる頃には日が落ち始めた。

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明日の食糧を買うべく気になっていたパン屋さんに向かうものの、やはり閉店済み。レイキャビクを発つ前にまた来られますようにと願いつつ、ホテル方面に並ぶお土産屋さんを物色してみる。

すべてがかわいいので、THEお土産屋さんなお店ですら好みのものばかりあって困ってしまいます。

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とはいえ早仕舞いしている店が多いのでこの日はあまり買い込まず。

そういえば、もし渡氷して最初にレイキャビクに行くなら、防寒装備は現地で買い足すのがいいなと感じました。そこの風土に適したものが売ってるし、日本にないデザインに出会えるし。次はそうしよう。

 

Happy New Yearそして花火花火花火

辺りが暗くなった頃、ようやくホテルにチェックイン。ひと息ついて、年越しそばを食べる。どん兵衛を持参しました。

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ホテルの写真がまったく残っていなくて、よほど疲れていたんだな……。

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お気に入りの靴下の写真しかありません。

 

22時すぎ、いよいよ年越し花火を見るべく、小雨が降る中をふたたび街へ繰り出す。ついでに先ほど買えなかった明日の食糧を、まだ開いている小さなスーパーで物色する、と、バター500gが350円くらいで売られていて叫びそうになりました。日本なら倍以上よ。ホテルの売店にぎりぎり残っていた、日本のコンビニなら300円で買えそうなサンドイッチも出がけに買ったのだけど、そっちは1600円。どうなってるんだ。しかもアイスランドのバター、この価格のものでも日本の定番ブランドより断然おいしくて、比較するならカルピスバター。価格、倍どころじゃなかった。ひとしきりバターに慄いてから塩、ハム、チーズ、バンズも手に入れて花火の位置取りへ。

 

私たちが陣取ったのはハットルグリムス教会前の通りにあるお店の軒先。スーパーで買い物をしている時点でもかなり混み合っていたけど、23時をまわる頃には通りまでこのひしめきっぷりに!

すぐ隣にベビーカーがあって、赤ちゃんがこの喧騒の中でもすやすや眠っていて可笑しかった。

 

そして、年明け!

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教会前はちょっとひらけたところで打ち上げていたけど、ふつうの民家の庭とか、そのへんの路地でも突然花火が上がるので結構スリリングです。

どれも民間人が好きに打ち上げているんですって。よく火事にならないな。この日のために販売される打上花火セットには消防や救急への寄付が含まれているそう。大晦日も出動に備えて詰めてるんだろうか。

レイキャビクのはずれのほうには大きな篝火もあって、レイキャビク発のショートバスツアーがいくつも販売されていました。街中を見物するのも楽しかったけど、離れたところからこのお祭りを眺めるのも楽しそうです。

花火のにぎやかな音は、3時過ぎまで鳴り続けていました。初めて海外で過ごす年越しがアイスランドだったこと、夫と一緒にそれを味わえたこと、ずっと記憶に残しておきたい。

 

明日は(今の私にはとてもじゃないけど選べない)スーパーハードバスツアー15時間コースです!

2021年に出会った映像作品ベスト5

今更!!!

たいへん今更ながら、やっぱり脳の外に整理立てて記録しておくっていいなと思ったので書きます。

実を言えば去年は途中から鑑賞作品メモをつけそびれていて、遡るのが面倒になっていたのである。でもまあtweetとサブスクの視聴履歴でだいたいわかるかもしれぬとさらってみたところ、2021年、映画館で観られたのはたったの8作品だけ。「ヤクザと家族」は2回観たけど、1年間に10回も映画館に行けなかったなんて。そして、家で観たのも新旧および再視聴あわせて映画9作品、ドラマ14作品、TVアニメ5作品でした。少ないな。ひきこもってる間なにしてたんだっけ……それに引き換え今年は異常にドラマを観まくっているので年末は順位付けに悩みころげそうだなぁ。

ただ、計36作品の中でもMCUの新作が多かった上にどれも印象的だったのでマイベストを選ぶのが難しくて、これはこれで散々悩んだ。あえて順位付けするなら、こう。

 

5位:コントが始まる(ドラマ)

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(引用元:コントが始まる公式Twitterアカウント

まさかここまで心にしみこむとは思わなかった作品。菅田将暉さん主演。彼のオールナイトニッポンを聴いていたら他の主演ふたり、神木隆之介さんと仲野大賀さんがゲストにいらして番宣していた回が非常に楽しげな雰囲気で、2020年にどはまりしたMIU404での菅田くんのお芝居が好きだったので、これは初回観てみようと決めた。

ら、うまく生きられない人、わかりづらい弱さを抱えた人、心にしこりを残し続けている人の描き出し方がえらくリアルでなおかつやさしくて、胸がぎゅうぎゅうになった。でもタイトルの通りお笑い芸人トリオの話なので、全体的にはコミカルなムードなのも良い。私以上に夫が気に入って、放送終了後もたびたび録画を再生していた。主演3人に加えて有村架純さんと古川琴音さんにも魅了されてしまい、琴音ちゃんがCMに映るたびに夫婦で「あ! 妹!」と叫んでいる。

 

4位:ホークアイ(ドラマ)

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(引用元:Hawkeye | On Disney+

いや〜〜〜爽快だった。クリント・バートンとケイト・ビショップの微妙な関係性の変化を丁寧に描きながら、どこまでもしっかりとエンタメ。画面も煌びやかで目に楽しい。最終回のエンドロールを大満足で眺められたし、今後の展開にもわくわくしてしまう。Disney+のMCUドラマシリーズでいちばん爽快感があったんじゃないか。数少ない、私が読んだことのある原作コミックからのドラマ化だったんですが、原作のおしゃれさと軽妙さがちゃんとMCUの中に昇華されてたように思う。そしてエレーナ……エレーナ……! この先が楽しみじゃ〜〜!

ホリデーシーズンに観るのにぴったりで、トリッキーなところは無くとも突き抜けて楽しかったのでこの順位にいたしました。

 

3位:ワンダヴィジョン(ドラマ)

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(引用元:マーベルドラマ『ワンダヴィジョン』|ディズニープラス公式

ワンダちゃんが好きなのもあるけれど、とにかく仕掛けが素晴らしかった。シットコム作品の再現ぶり、ビジュアルのかわいさ、話数を追うごとに解き明かされていく得体の知れない怖さ。わからない恐怖とわかりたくない恐怖、ついでにわくわくしちゃうエッセンスまでもが絶妙に混ざり合っていて、心が揺らいで惹き込まれる。毎週「どうなっちゃうの?!!」とエンドロールに向かって叫んでいた。

ワンダの過去の見せ方も面白かったな。彼女の抱える苦しみや葛藤を、彼女自身と一緒に追体験できる演出、にくい。ラストは胸が引きちぎれるかと思いましたが……そして「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」でさらに打ちのめされましたが……まだ先があるって信じています、ケヴィン・ファイギ様。

キャラクター軸だと、「マイティ・ソー」シリーズで好きだったダーシー・ルイスの登場が嬉しかった。完全に想定外だったので嬉しすぎる! きっとラブ&サンダーでも活躍するよね? そわそわ……。アガサ・ハークネスの衣装や佇まいも大好きだったので彼女のドラマも楽しみです。過去編になるのかな? 去年コミコン開催してたら彼女のコスプレする人少なからずいただろうなぁ。

 

2位:ヤクザと家族 The Family(映画)

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(引用元:ヤクザと家族 The Family公式Twitterアカウント

短く語ることが難しい。MIU404からの流れで、綾野さん主演なこと、また気になっていた藤井監督の作品ということで夫とふたりで観に行った。1回目、映画館を出てもまだ呆然として頭がうまく回らなかったのを覚えている。受け取ったもの、受け取れなかったもの、己の中で立ち昇っては消えるもの、いろんな思考がごちゃごちゃに絡まって呆然としていた。

帰って、millennium paradeによる主題歌「FAMILIA」のMVを観て、初めて泣いた。たしか1週間後に2回目を観に行って、ようやく思考回路が動き出し、エンドロールでまた泣いた。

「泣ける作品」は別に好きじゃないんだけど、とかく頭を掻き回される、考え込まざるをえない作品で、メッセージ性が強いというよりも、とてつもなく美しい映画の中の、見えるもの、聞こえる音の隅々にまで問いが染み込んでいるような気配がするのが、すごい。

結構危ういところもあると思うんです、監督のインタビューを読み漁ってもなお、もやもやするところもある。でも主人公たちをまるごと肯定することが答えでもないと思っていて、考え続けなければと思わせてくれる、ずっと大切にしたい作品であることは間違いない。

 

1位:陳情令(ドラマ)

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(引用元:陳情令公式Twitterアカウント

10月9日の夜にAmazon primeで第1話の再生ボタンを押したのがすべての始まり。なんでこの日だったのか覚えてないけど、どうやら2019年と2020年の初め頃にも私は陳情令が気になっていたようで、しかし沼の深さを察知して様子を見に行くタイミングを計っていたんだと思う。正解だった。第2話の途中まで観てもいまいち話が掴めず、かといって放り出すのもなんか違う気がして、いったん原作第1巻を読んでみるかと電子書籍をぽちったところ、気付けば朝になっていた。

(ちなみにこのふたりのカップリング名はほんとうは忘羨と書いてワンシェンです。ドラマはBL作品じゃないけどね)

それからドラマの視聴を再開したら俄然解像度があがり、今度は心にダイレクトヒットしすぎて一気に摂取できず、すこし観てはキャストについて調べたりなんだりするうちに中国ドラマの沼に浸かりきっていました。怖い。

今更説明するのも……と思うんだけど、何がそんなに良いのかといえば、主役ふたりのみならず緻密に編まれた複雑な人間模様、私にとっては新鮮な異文化感(世界観や設定、衣装、音楽)、キャストの方々のあまりにも雄弁な瞳、そして麗しいビジュアル、でしょうか。細かく挙げ出したらきりがない。

もうね、登場人物がたっくさんいて、それぞれの視点で捉え直すと新たな発見がぼろぼろ出てくるし、悪役もひとくちに悪と断じきれなかったりする。彼らが生きる世界の行く末、名も知らぬ誰かの人生にまで思いを馳せたくなるのです。

メインキャストの中には演技経験が浅い人も多いはずだけど、細やかなお芝居と演出で、何回観ても新鮮に楽しめるので困ってしまいます。予算が潤沢じゃないがゆえの粗い部分もご愛嬌。

ただただ全50話というボリュームだけが人に勧める際のネックなのだけど、完走したらあと50話欲しいと思うことうけあいです。あと、序盤は中国時代ファンタジー(仙俠もの)ならではの特殊用語も多くて混乱をきたしがちでして、そのあたりを同時視聴で解説することも可能ですので気になる方はお気軽にお声かけください。

なお、私は藍忘機が好きです。白い方です。

 

 

ドラマ「ロキ」はいまだに消化しきれておらず、入れませんでした……が、かなりの引力で心を掻き乱された作品だったな……2周目したいけど心の準備が1年経ってもできていない。「ブラックウィドウ」も言わずもがな良かった。エレーナ、今後のMCUでたくさん活躍してほしいな。

アニメだと「かげきしょうじょ!」が好きでした。原作既読なのに毎話泣いてしまったし、エンディングアニメーションがきらきら眩くて、絶対スキップせずに最後まで観てた。

NTLの「ジェーン・エア」は「知っているはずなのに新鮮」という嬉しい体験ができた。

年内に完走しなかったので入れなかったけれど、先日書いた中国ドラマ「風起洛陽」との出会いも衝撃でした。

さて、2022年もあと半年。どんな作品に出会えるかな。まずは7/8公開の「マイティ・ソー ラブ&サンダー」がはちゃめちゃに楽しみです! (ワイティティ監督が出演してる「海賊になった貴族」も観たい!)

 

▼2020年のマイベストはこちら。